今まで名鉄電車の模型を制作してきたわけですが、製作を始めて以来、電車の細部を気にしてみるようになりました。ガラスのスモーク具合や連結器などは特に注意深く観察しています。

そして近年、JR・私鉄各社とも車両と車両の間に「転落防止用幌」というものが取り付けられるようになりました。これはホームから車両間の隙間に転落しないようにするために付けられた事故防止の部品なのですが、模型においても連結面間隔に目を向けられるようになり、精密感がさらにアップしつつあります。

TOMIXの伸縮式カプラー発売以来、究極の連結面(非常に狭い連結面間)が再現されるようになり、皆さんもよくご存知かと思います。JR東日本E231系などの製品には発売時から伸縮式カプラーが備えられており細部まで再現されています。

ところが「名鉄電車」においては、この連結面間隔に異なる特徴が存在します。それは、他社よりも連結面間隔が広いということ。パノラマカーを見てなんとなく広いなぁとは感じていたものの、実際にどれくらいあるのかを正確に計ることはありませんでした。

そこで今回、手元の図鑑・雑誌からザッとですが、調べてみることにしました。

線路と公道の間隔
7000系の連結面です。
だいぶ広くなっています。
こちらは6500系の連結面です。
7000系ほど広くはありませんが、他社の車両よりは広いです。
転落防止用幌の幅を見れば、その差が確認できます。

鉄道会社 車両形式 実車連結面間 1/150模型連結面間
名古屋鉄道 1000系 730mm 4.87mm
1200系 730mm 4.87mm
8800系 730mm 4.87mm
1600系 600mm 4.00mm
7500系 730mm 4.87mm
7000系 830mm 5.53mm
7700系 730mm 4.87mm
5700・5300系 730mm 4.87mm
5500系 830mm 5.53mm
5000系 830mm 5.53mm
100系 700mm 4.67mm
3400系 800mm 5.33mm
6500系 730mm 4.87mm
3100・3700系 600mm 4.00mm
小田急電鉄 全車(ロマンスカー除く) 500mm 3.33mm
西武鉄道 全車 500mm 3.33mm
山陽電鉄 5000系 600mm 4.00mm
京浜急行電鉄 600系 500mm 3.33mm
JR東日本 E231系列 500mm 3.33mm

数社の数形式を比較しただけですので摘み摘みな情報になっていますが、名鉄電車の連結面間隔が他社より広いということはお解りいただけるかと思います。模型で表現しても3.3ミリと4.8ミリでは雰囲気にだいぶ違いが見られます。せっかく調べたので、今後はこれを参考に製作を進めたいと思います。
ですが、細かな部分にこだわる余り製作の楽しさや醍醐味を忘れてしまっては元も子もありません。あくまでほどほどに‥。

カプラーの話になりますが、4.8ミリの連結面間隔を再現しようとした場合、伸縮式カプラーでは縮まりすぎる可能性があります。さらに名鉄7000系はTOMIXからの発売時から既に先頭車⇔中間車、中間車⇔中間車で連結面間隔に違いがあるため、間隔を統一することは高いハードルではないかと推測しています。既存のアーノルドカプラー(発売時の車両や台車に付いている大きいもの)の方が車両の連結、開放が容易であるという利点もあるので、そのままの再現もそれはそれでよいのかもしれません。

模型を製作される方はご存知かと思いますが、床板を自作した際の台車・連結器などの位置関係調整は大変困難な作業です。
 
ところで、なぜ名鉄車は広いのでしょうか??急カーブが多い、急ポイントが多い‥。
近年の3100・3700系、1600系などは600ミリと他形式に比べだいぶ連結面間隔が縮まりました。気づかぬうちに線形改善を実施しているのかもしれません。
いろいろな面で車両に統一性が少ないところも、名鉄電車の魅力と言えましょうか。

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